家族の負担を軽くする 専門家と考えるレトルト介護食の使い方

介護

忙しい介護家庭を支える!レトルト介護食の活用法

こんにちは、社会福祉士・介護支援専門員として40年以上現場に携わってきたふーたろです。
日々の介護の中で「食事作り」に頭を悩ませているご家族は多いのではないでしょうか。
私自身、現場でご家族から「もう料理に疲れてしまった」「でも手抜きはしたくない」といった声をたくさん聞いてきました。

そんな時に役立つのがレトルト介護食です。
この記事では、レトルト介護食のメリットや選び方、具体的な活用方法をご紹介します。
「手抜き」ではなく「工夫」として活かす視点をお伝えできればと思います。


レトルト介護食のメリット(栄養・安全・時短)

 elderly food convenience

栄養バランスが整いやすい

市販のレトルト介護食は管理栄養士の監修を受けている商品が多く、塩分やカロリーが調整されています。
一概には言えませんが、自宅で一から栄養バランスを整えるよりも安心できる場合が多いのです。
特に「たんぱく質が不足しがち」「噛む力が弱い」といった悩みに応じたラインナップが揃っています。

安全性が確保されている

介護食は食べやすさ=安全性にも直結します。
例えば「やわらか食」「ムース食」といった商品は誤嚥のリスクを減らす工夫が施されています。
現場でも、「家族の調理だと喉に詰まるのが心配だったけれど、レトルトなら安心できる」と言われる方が多くいらっしゃいました。

調理時間を大幅に短縮できる

自宅では家族が介護をしながら三度の食事を用意するのは、本当に大変なことです。
レトルトなら湯煎や電子レンジで数分。
その時間をご家族が自分のことに使えることで、心身の余裕にもつながります。

保存性が高く備蓄にもなる

レトルト食品は常温保存ができるものが多く、災害時やご家族のアクシデントの場面で非常食としても役立ちます。
実際、地域包括支援センターに勤めていた頃、ご家族が真夏の炎天下で買い物に出かられなかったときに「レトルト介護食があって助かった」と聞いたこともあります。


選ぶときのチェックポイント(やわらかさ・栄養成分・味)

 soft textured food

やわらかさの基準を確認

介護食は嚥下機能の状態に合わせて選ぶことが大切です。
日本摂食嚥下リハ学会の「嚥下調整食分類2021」を目安にすると選びやすいでしょう。

栄養成分表示を確認

高齢者は低栄養になりやすいため、たんぱく質やカロリーがしっかり含まれているかチェックしましょう。
塩分量も見落とさないことが大切です。

味の好みを考慮する

「おいしい」と感じることが食欲の継続につながります。
介護食も和風・洋風・中華など種類が豊富なので、本人の好みを尊重しましょう。

アレルギーや疾患に配慮

糖尿病や腎疾患のある方には、疾患別の調整食が安心です。
商品パッケージにあるアレルゲン表示も必ず確認してください。


おすすめレトルト介護食ブランド

 packaged nursing care food

キユーピー やわらか食

「見た目は普通のおかずなのに、やわらかい」という点で人気。
食欲をそそる彩りがあり、実際に「見た目が食欲を支えてくれる」との声も多く聞きます。

ハウス食品 やさしくラクケア

カロリーや塩分を控えつつ、しっかりとした味付け。
「薄味だと食が進まない」という方に向いています。

アサヒグループ食品 バランス献立

たんぱく質補給に強みがあり、噛む力が弱くても安心して食べられます。
管理栄養士からも推奨される商品です。

フードケア やわらか倶楽部

ムース状食品のラインナップが豊富。
誤嚥リスクが高い方におすすめです。


アレンジ方法(おかゆ・スープ・副菜に活用)

 meal preparation nursing food

おかゆに混ぜて主食を強化

レトルト介護食をおかゆに混ぜると、栄養価がアップし、味の変化も楽しめます。
「おかずが飲み込みにくい」ときに便利です。

スープに加えてボリュームアップ

野菜のポタージュや味噌汁にレトルト介護食を足すと、一品で満足できる食事になります。
特に冬場は体が温まるのでおすすめです。

副菜として少量ずつ活用

「全部をレトルトにすると抵抗がある」という方は、副菜だけレトルトにするのも工夫のひとつです。

見た目を整えて家庭料理風に

盛り付けに工夫をすると「市販品っぽさ」が和らぎます。
陶器の器に移すだけでも印象が変わるので、ぜひ試してみてください。


宅配サービスと併用するメリット

 meal delivery service elderly

定期配送で買い物の負担軽減

宅配サービスを利用すれば、買い物に行く手間が省けるので、体力的にも安心です。

献立を考える手間が減る

「今日は何を作ろう…」という悩みから解放されます。
栄養士監修のメニューで安心感もあります。

非常時にも安心

冷凍タイプの宅配介護食は、ストックしておけるので災害時にも助かります。

組み合わせてバランスよく

「主食は宅配、汁物や副菜はレトルト」という使い分けも可能。
無理なく続けられる形を見つけることが大切です。


まとめ:介護食は「がんばりすぎない工夫」で

介護食づくりは、ご本人の健康を守るだけでなく、介護者の心身の負担にも大きく影響します。
レトルト介護食は決して「手抜き」ではなく、「がんばりすぎないための工夫」なのです。

私がこれまで現場で関わってきたご家族も、レトルトを上手に取り入れることで「食事の時間に余裕が生まれた」「本人もおいしそうに食べてくれた」と笑顔を見ることができました。

ぜひ、日々の介護にレトルト介護食を取り入れて、
「少しでも楽に」「笑顔で続けられる介護」を目指していただければと思います。
まだまだ暑い日が続くとのことです。皆様も健康にはご注意ください。